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動物別症例集

トカゲ(フトアゴヒゲトカゲ)の口腔内腫瘍

トカゲ(フトアゴヒゲトカゲ)の口腔内腫瘍について

トカゲの口の病気としては、口内炎(マウスロット)などが一般的に知られている病気かと思われます。
しかし、中には口内炎っぽく見えても腫瘍だったという子もいます。

口内炎治療に反応しない口の赤みや腫れがある子では、腫瘍の可能性なども考慮して、犬や猫のように麻酔をかけた上でしっかり組織を切り取って病理検査に出してみるといいと思います。

腫瘍の治療は、トカゲに限らずエキゾチック動物全般でまだ確立されたものはないため、犬猫の治療などを参考に一緒に検討させていただくことになります。
具体的には、切り取れる範囲の腫瘍なら根治療法として外科的に切除、切り取れないものに対しては治療~緩和療法として化学療法(抗がん剤)や放射線などです。
まだまだ治療反応や余命がどこまであるのか明確には出来ないことが多いですが、飼い主さんとも相談しながら治療を進められればいいなと思います。


フトアゴヒゲトカゲのコクシジウム

フトアゴヒゲトカゲのコクシジウム


トカゲの便検査で比較的良く出てくる寄生虫の一種類です。

胃腸の他にも胆管・胆のうや腎臓にも寄生すると言われています。

寄生されると症状として、食欲が無くなったり、体重減少、元気消失、嘔吐などが出ます。

治療には飲み薬があります。


うんちの検査で寄生虫の確認ができれば、症状を出す前に治療を行うこともできるので、健康診断が大切です。


エボシカメレオンの卵閉塞

この写真はエボシカメレオンの卵塞を呈したレントゲン画像であり、下腹部に見られるぼこぼこした白い塊状のものは全て卵です。

基本的にエボシカメレオンの産卵数は多く一回あたり20~80個ほど産卵しますが、それができないことによって腹部にたまった卵により消化管が圧迫され、食欲不振、腹部膨満が見られます。

原因としては、産卵行動の前に行う掘る行動を満足にさせるだけの土がない場合や、紫外線不足、低気温などの飼育環境の問題や、カルシウム不足などの食餌の栄養の偏りなどがあげられます。

内科的治療としては、カルシウム不足による機能的卵塞を考慮し、カルシウム剤の投与や、卵管収縮作用があるオキシトシンの投与などがあげられますが、一般状態が低下している場合は内科療法よりも、外科的に摘出するほうが良い結果につながる場合もあります。


レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)のヘミペニスプラグ

上記の写真は長期にわたってヘミペニスプラグが総排泄腔に詰まることにより周囲の組織が出血壊死してしまったレオパ(ヒョウモントカゲモドキ)の写真です。

ヘミペニスプラグとはクロアカルサック内に定期的に溜まる黄色くて硬い塊のことで、クロアカルサックの中にあるヘミペニスの垢に汚れや膿などが溜まってヘミペニスプラグが形成されるのではないかと考えられます。
ヘミペニスプラグは通常、自力で排泄されますが、排泄の機会を失うと時間とともに水分を失いクロアカルサックに張り付いて、糞尿の排泄が困難になり、放置してしまうと、より汚れや細菌が付着され、ヘミペニスプラグの付着部位から二次的に感染や出血、壊死し悪化してしまいます。


対処法としては、患部の付着しているヘミペニスプラグを優しく剥離し、膿や壊死したところを除去し消毒を行い、抗生剤を投与することで細菌の進行を防ぎ、飼育環境を衛生的に保つことで傷の修復を試みます。


トゲオイグアナの細菌性皮膚疾患

上記の写真はトゲオイグアナの下顎に小さな傷ができ、そこから細菌が感染し、膿瘍ができた写真です。

爬虫類の膿瘍の症状としては乾酪化した炎症産物や壊死組織の含んだ膿が塊となって皮膚が破けてコブのように腫れていくことで気づきます。

治療法として、細菌由来のものではあるが膿が固形で存在している場合、抗生剤の内科治療だけではなくなることは少なく、基本的には外科的に摘出後、患部や飼育環境を清潔にし抗生剤の投与も行うことで再発を防ぎます。

今回のように皮膚が寄せられないような場所であれば膿瘍の摘出後、無理に皮膚を寄せて縫合してもうまく癒合しない場合が多いので、あえて縫合はしないで感染を抑えながら自然に治癒するのを待つほうが主流とされています。


ニシアフリカトカゲモドキの卵閉塞

上記の画像は2ヶ月前に交配してから食欲が廃絶し、腹部が膨満したニシアフリカトカゲモドキのレントゲン画像です。
下腹部には卵殻が形成された2つの卵が確認されます。

トカゲの雌性生殖器疾患である卵閉塞の主な症状としては
食欲不振、腹部膨満であり、卵殻形成によるカルシウムの大量消費
のため低カルシウム状態となり、卵管平滑筋の反応を低下させ難産を助長させたり、
元気の消失や神経症状もみられる場合もあります。

治療法としては、水和状態や栄養性の問題を考慮し、補液やカルシウム剤の注射や
産卵を促すためオキシトシンやアルギニンバソトシンの注射を行うこともあります。
生殖器の損傷や異常がみられたり、内科療法が無効であった場合は外科的処置も一つの手段として挙げられます。
また治療だけでなく、産卵床は適切か、環境ストレスはないか、などの飼育者の飼育環境の見直しが最も重要な改善の糸口となる場合もあります。


ヒョウモントカゲモドキ(レオパ)の卵胞うっ滞

上記の画像は1ヵ月内科療法しても改善がみられず外科的摘出にのぞんだヒョウモントカゲモドキの停滞していた卵胞の写真です。

卵胞うっ滞を呈した場合、卵胞による体腔内の物理的占拠により、初期には消化管が圧迫され、
食欲不振と腹部膨満が認められることが多く、続いて体重減少、元気消失、後躯不全麻痺などがが認められます。

内科療法としては、脱水を緩和するため皮下点滴を行い、低カルシウム血症を防ぐためカルシウム剤を注射を行います。
それでも改善が見られない場合は、外科的に卵胞の摘出を試みます。

本症例は外科的治療後も予後は良好で、摘出後、食欲が戻り体重も増え元気になりました。


フトアゴヒゲトカゲの全身性微胞子虫症

全身性微胞子虫症とは診断方法が確立されておらず、生前診断が困難な疾患であるが、おそらくEncephalitozoon sppが関与していると思われる。報告では副腎や肝臓、腸管、脂肪組織における感染も確認されており、症状が多様化しやすく、発見は困難であろう。今回この症例を2016年のエキゾチックペット研究会にて症例発表を行った。


エジプトトゲオアガマの膀胱結石

エジプトトゲオアガマは総排泄孔から固形物の糞、液状の尿、クリーム状の尿酸塩を排泄します。タンパク質の過剰摂取、水分不足、環境湿度の低下などで、尿酸が硬化すると結石となり、ある程度以上の大きさに成長した結石は、痛みを伴い、周辺の臓器を圧迫するので、便秘、卵秘、尿道閉塞、食欲低下などのさまざまな異常を引き起こします。また、腎臓への負担の増加や脱水による高尿酸塩血症(=痛風の症状)、体腔内臓器(腹膜、心臓、膀胱など)の浮腫等の異常がみられることもあります。 結石は非常に大きくなると、膀胱の穿孔や周辺臓器の損傷が起こり、死亡する危険もあります。治療法は、全身麻酔による膀胱切開で結石を摘出する方法になります。


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