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動物別症例集

犬の胃内異物(内視鏡による摘出)

犬の胃内異物

ワンちゃんは家の中や外でいろんなもの(異物)を口にしてしまう可能性があります。
食べたものが問題の無いものであればいいのですが、体に異常をきたす可能性があるものであれば、体の外に出す必要があります。

そこで選択される方法としては、一般的に催吐処置(吐かせる)、内視鏡を使って取り出す、外科的摘出(お腹を切って出す)などの方法があります。
食べてから時間が経っておらず胃の中に残っているのか?先端が鋭利なものではないか?サイズはどんなものか?などによって、適切な治療法は変わってくるため、相談の上で治療方針は決めていければと思います。

写真の症例は、先端が鋭利になっているつまようじを誤食したワンちゃんで、内視鏡による摘出をした症例です。
幸い胃の中も激しく傷ついておらず、内視鏡による異物摘出後は、いつもどおりの生活に戻れたようで良かったです。


犬の骨盤骨折

犬の骨盤骨折

骨盤骨折は犬のお尻から股の辺りにある骨盤という骨が折れる病気です。
骨盤の周囲は様々な筋肉などで守られているため、簡単には折れないのですが、交通事故や落下などの大きな衝撃が加わると折れてしまうことがあります。

症状として、
歩行に異常が出たり、骨盤周りが狭くなることでうんちを出しにくいなどの異常が出ます。

今回の症例では、骨盤の骨の位置を正しく合わせて、プレートとねじを用いて治療を行いました。

やっていることは骨折の治療にはなるのですが、骨盤骨折の場合は大きな力が本人に加わった可能性があるため、内臓器に異常がないか、他の骨折も併発してないかなど広く検査を行う必要があります。


犬のマダニ寄生

写真のチワワちゃんの目の周りについているイボのようなものすべてが2枚目の写真にある吸血したマダニたちです。

このようにマダニ予防をしていない状態でワンちゃんと一緒にハイキングやキャンプなどに行くと顔回りや胸部、おしり周りなどにマダニが寄生している可能性があります。

マダニに咬まれると、犬は皮膚炎や貧血、栄養障害などの病害のみならず、マダニが病原体の運び屋となって、場合によっては感染症により、命に関わる危険性もあります。

また動物に寄生したマダニは人にも移る場合があり、ペットからのマダニ媒介によりウィルス感染して死亡したという報告(SFTS:重症熱性血小板減少症候群)もありますのでしっかりとしたノミ、マダニ予防の徹底を行いましょう。

寄生したマダニは、セメントのような物質で固定しているため、引っ張ってもなかなか取れません。無理に取れば、口器だけ皮膚内に残り炎症や化膿などの原因となります。そのため、マダニを取り除くときは動物病院で口器を皮膚内に残さないように専用のピンセットによる除去や、薬剤を使用して取り除くことをお勧めします。


犬の橈尺骨骨折

トイプードル、チワワ、ポメラニアンなどのトイ犬種といわれる小型犬やイタリアン・グレーハウンドなどの前肢は細いため衝撃に弱く、抱っこ中に落下して骨折するケースや、ソファから飛び降りて骨折してしまうケースが多いです。
特に前腕部を構成する橈骨と尺骨をまとめて骨折することを橈尺骨骨折とよびます。

骨折の程度にもよりますが、通常は体内にプレートを埋め込んで骨を固定する手術を行う必要があります。
ヒビ程度であればギプスなどの外固定でも治癒することがあります。

骨の癒合がレントゲン撮影で確認できたら、再度手術をしてプレートを摘出します。

ちょっとの不注意で二度も手術をするような大掛かりな事態になってしまいますので、高いところには登らない、高いところから飛び降りない、などのしつけを普段から行っておくことが重要です。


犬の乳腺腫瘍

メスの犬は、高齢になると乳腺腫瘍が多くみられます。
良性のものを乳腺腺腫、悪性のものを乳腺腺癌(乳腺癌)といい、犬ではその比率は半々と言われています。

乳頭の周囲の皮膚の下に硬いしこりができ、それが徐々に大きくなっていきます。
良性の乳腺腺腫であれば健康上影響がない場合もありますが、乳腺腺癌(乳腺癌)は全身に転移し、最終的に死に至ります。

診断は細胞診、または病理組織検査になります。
細胞診は注射の針を腫瘍に刺して細胞を取ってくる検査で、簡便ですが精度はあまりよくありません。
病理組織検査は全身麻酔で腫瘍を塊ごと摘出し、専門の機関に依頼して、腫瘍細胞の悪性度や分布をみる検査になります。

悪性であれば命に関わるため、乳腺腫瘍が見つかった段階で早期の手術+病理組織検査をお勧めすることがほとんどです。

悪性であっても、早期発見により完全に切除できれば完治する腫瘍です。
しかし発見が遅れ、全身への転移が認められた場合、治療は困難です。
外科手術で完全切除が出来なかった場合や転移が認められた場合に、化学療法(抗癌剤)を検討することもありますが、完治させるには至りません。
また稀なケースですが、炎症性乳癌といって手術が出来ないタイプの乳癌もあるので、注意が必要です。

できてしまうと大変な乳腺腫瘍ですが、発生率(良性・悪性とも)を早期の避妊手術によって激減させることができます。
避妊手術までの間に発情を経験させる回数により、0回で0.05%、1回で1%、2回で24%まで抑えられることがわかっています。それ以上発情を経験してしまうと、予防効果は期待できないと報告されていますので、避妊手術を考える場合には、なるべく早期の手術が推奨されています。


犬の潜在精巣

犬の精巣は、出生時には腹腔内にありますが、生後30日ほどで陰嚢内に下降してきます。
潜在精巣とは別名陰睾(いんこう)ともいい、精巣が片側または両側とも陰嚢内に下降せず、腹腔内または鼠径部に停留することをいいます。遺伝するため、繁殖に用いないことが重要です。

また、潜在精巣は正常な精巣と比べ約13倍も腫瘍化しやすいというデータがあります。精巣の腫瘍は悪性のものも報告されています。
精巣が腹腔内にある場合は開腹手術になってしまいますが、腫瘍化しないうちに早めの去勢手術をおすすめします。
当院では生後半年頃での去勢手術を推奨しています。ワクチン接種とあわせてご相談ください。


犬の門脈・体循環シャント

門脈体循環シャントとは、腸や全身臓器から肝臓へと血液を送る血管である「門脈」と全身への体循環を担う大静脈との間に本来無い異常血管(シャント血管)ができることで様々な障害を引き起こす病気です。
ほとんどの場合先天性ですが、重度の肝臓病があると後天的に発生することもあります。

症状は元気や食欲低下・嘔吐・下痢などがあり、重症だと肝性脳症といわれる神経症状(けいれん発作、ふらつきなど)や、最悪の場合死に至ることもあります。
合併症として尿酸アンモニウム結晶による尿路結石などがあります。

診断には血液検査、レントゲン、エコー検査などが用いられ、CT検査が必要な場合もあります。

症状が軽度の場合は内服薬や食事療法で抑えられることもありますが、一般的には外科手術が選択されます。セロハン結紮術やアメロイドコンストリクター設置術などで異常血管を結紮、閉塞します。


犬の腸重積

腸管の中にそれに連なっている腸管の一部が反転してはまり込んで外と中に重なった状態となり、これによって腸管内の内容物が通過できなくなってしまうことを腸重積といいます。原因としては大腸炎による下痢、腫瘍、異物などがあり、症状は腹部の痛み、食欲不振、嘔吐、しぶりなどがあり、基本的には外科手術が適応となります。腸重積が重度になると腸閉塞になり生命に危険が及ぶので注意が必要です。


犬の鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアは、両足の付け根(鼠径部)にある隙間から、お腹の中の内容物(臓器や脂肪など)が飛び出てしまった状態を言います。遺伝などの先天的に起こる場合と、事故などによる外傷などで後天的に起こる場合があります。ヘルニアが小さければ経過観察を行う場合もありますが、ヘルニア部分が拡大したり、臓器(腸や膀胱など)がヘルニア内に出ている場合は、外科手術が必要となります。


犬の子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、子宮内に細菌が感染して膿がたまる病気です。元気や食欲がなくなり、下痢、多飲多尿、発熱や嘔吐などが認められることがあります。重症化するとショック症状や急性腎不全を併発することもあります。治療は、卵巣と子宮を摘出する手術です。急性腎不全やショック状態にある場合には、状態を安定させるために点滴や抗生剤の投与を行います。また、早期に避妊手術を行えば、子宮蓄膿症だけでなく、乳腺腫瘍、子宮癌の発症を予防することができます。


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