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動物別症例集 8ページ目

犬の色素上皮嚢腫

前房と呼ばれる部位に黒い嚢胞が浮かんでいることを色素上皮嚢腫といいます。腫瘍との鑑別が必要ですがこの嚢胞が前房内を上下左右自由に動くのが特徴です。嚢胞の個数が少なく視界をじゃましなければ手術の必要はないですが、嚢胞の個数が多く視界のじゃまをするようだと手術が必要です。


インコの嘴過長症

嘴の過長は、肝不全や、アミノ酸欠乏、PBFD、疥癬などによる成長板細胞の異常により、嘴のタンパクの合成異常が生じ、上嘴が過伸長します。嘴形成不全は、嘴の過長、脆弱化、横または縦のストレスライン、変色や出血班などがみられるものをいいます。多くは肝機能障害や高脂血症によって起こります。PBFDでは特に上嘴が過長し、脆弱化します。またストレスラインや破損もみられることがあります。治療法としては、鳥が診れる病院で、嘴のトリミングをしてもらって、基礎疾患を治療していきます。


ウサギの歯根膿瘍

ウサギの歯根膿瘍は、歯根部に細菌が感染し膿が溜まる病気で、主な原因として不正咬合があります。不正咬合になると削れずに伸びすぎた歯が棘(とげ)となって口内に刺さって膿んだり、硬い飼料(ペレット)の食べ過ぎで歯根に過度の負荷がかかりできた隙間から細菌感染を起こします。治療は抗生物質などの内科的な治療ではあまり効果がみられないことが多く、全身麻酔下での抜歯、排膿による消毒と開放創を作ることで中に膿を溜めないようにする外科的治療が一般的です。しかし完治が難しく、長期間治療が必要となります。


チンチラの皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とはイヌ小胞子菌というカビの一種によるものが感染しておこる真菌症のことをいいます。皮膚免疫能が低下している幼体での発生が多いです。鼻、眼、耳のまわり、あるいは前足に脱毛とフケがみられます。特に鼻のまわりにはよく見られ、円形の脱毛が特徴的です。予防は清潔な環境に保つことが大切で、治療は抗真菌薬のぬり薬やのみ薬を使用します。


ハリネズミの子宮内膜炎

ハリネズミも子宮の病気になる確率が高い動物です。元気や食欲はありますが、血尿で気付く場合が多いです。
治療の第一選択としては、卵巣と子宮を摘出する手術です。内科療法を行うこともあります。予防は避妊手術を受けることです。


犬の皮膚組織球腫

皮膚組織球種は、犬特有の良性の腫瘍でおもに1~2才の若い犬にみられます。場所として顔や頭、耳、足先などにできることが多いです。見た目は、ピンク色した半球型の単発性のしこりです。組織球腫のなかには外用コルチコステロイド剤で縮小し、消滅するものもありますが、治療せずとも約8~12週間で自然に消失しまう事が多いです。悪性腫瘍である肥満細胞腫との鑑別診断を厳密に行うために、ほとんどの場合には外科的切除を必要とします。


デグーの脊索腫

脊索腫とは、通常胎児期のみに認められる脊索という機関が出生後も残存し腫瘍化したもので、一般的に尾の付け根辺りにできます。フェレットでは、通常尾の先端に塊状の腫瘍が形成されます。デグーの腫瘍については、情報が非常に少なく、他の動物に比べて腫瘍は少ないとも言われていますが、血管腫、肉腫、リンパ腫、歯牙腫、線維腫、線維肉腫などの報告があります。脊索腫は悪性度は低い腫瘍に分類されますが、デグーの脊索腫については文献による報告がなく、挙動や悪性度などは正確にはわかっていません。一般的に外科切除が推奨される腫瘍です。

※本症例は、病理専門医の近藤広孝先生執筆の元、海外の学術論文に掲載されました。
Kondo, H., Hara, K., Sukegawa, A., & Shibuya, H. (2018). Chordoma of the Tail in a Degu (Octodon Degus). Journal of Exotic Pet Medicine, 27(4), 1–4. https://doi.org/10.1053/j.jepm.2017.10.025



ボタンインコのキサントーマ(黄色腫)

キサントーマは高脂血症が存在する場合に外的刺激が加わり発生します。翼端部のキサントーマでは、打撲や慢性的な毛引きが原因になることが多いです。重量の増加で飛べなくなったり、自咬してしまうこともあります。
治療は、内科療法(高脂血症の改善と発情抑制)と外科摘出があります。


猫の皮膚糸状菌症(真菌性皮膚炎)

皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)の感染を原因とする感染症で、皮膚糸状菌が表皮の角質層、被毛、爪において増殖する病気です。環境(土壌)からまたは他の猫との接触により感染します。子猫、老齢猫あるいは何らかの疾患を持ち免疫機能が十分でない猫で発症しやすくなります。
症状は、顔、耳、四肢の一部分などに円形などの脱毛ができ、その周りにフケやかさぶたが見られるようになります。また脱毛部分を掻く動作なども見られるようになります。治療には、抗真菌薬の内服や抗真菌薬の入ったローションや軟膏などの塗布が行われます。また、抗真菌薬の入ったシャンプーで薬浴を行うこともあります。


犬の胆嚢摘出(胆石)

胆汁が濃縮して泥状に変性した胆泥が、さらに石になったものを胆石といいます。胆嚢に異常が生じても初期にはほとんど無症状で、進行した場合に元気・食欲の低下や嘔吐が見られることがあります。
治療として、軽度であれば胆汁の分泌を促進する利胆剤を投与する内科治療で様子を見ます。内科治療に反応しない場合や、胆泥、胆石などが閉塞を引き起こしている場合には外科的処置が必要になります。
定期的な健康診断で早期発見をする事も大切です


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