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動物別症例集

ボールパイソンの水疱病

概要
ヘビ類に多く見られる皮膚病で、水疱症、小疱性皮膚炎、壊死性皮膚炎、スケールロットなど、様々な名称があります。

原因
皮膚に細菌感染が成立すると発症します。
ケージ内の多湿や換気不足、不衛生、ストレスなどの環境要因と、ダニや寄生虫感染、免疫低下などの内的要因が関係することがあります。

症状
主に腹部の皮膚が赤くなったり、水ぶくれを形成し、それがはじけて潰瘍になったりします。
重度になると敗血症を引き起こし、命にかかわることもあります。

治療法
患部の消毒と抗生物質の投与がメインの治療法になります。
症状に応じて外用薬(塗り薬)を処方することもあります。
また、飼育環境の見直しも非常に重要です。


犬の橈尺骨骨折

トイプードル、チワワ、ポメラニアンなどのトイ犬種といわれる小型犬やイタリアン・グレーハウンドなどの前肢は細いため衝撃に弱く、抱っこ中に落下して骨折するケースや、ソファから飛び降りて骨折してしまうケースが多いです。
特に前腕部を構成する橈骨と尺骨をまとめて骨折することを橈尺骨骨折とよびます。

骨折の程度にもよりますが、通常は体内にプレートを埋め込んで骨を固定する手術を行う必要があります。
ヒビ程度であればギプスなどの外固定でも治癒することがあります。

骨の癒合がレントゲン撮影で確認できたら、再度手術をしてプレートを摘出します。

ちょっとの不注意で二度も手術をするような大掛かりな事態になってしまいますので、高いところには登らない、高いところから飛び降りない、などのしつけを普段から行っておくことが重要です。


犬の乳腺腫瘍

メスの犬は、高齢になると乳腺腫瘍が多くみられます。
良性のものを乳腺腺腫、悪性のものを乳腺腺癌(乳腺癌)といい、犬ではその比率は半々と言われています。

乳頭の周囲の皮膚の下に硬いしこりができ、それが徐々に大きくなっていきます。
良性の乳腺腺腫であれば健康上影響がない場合もありますが、乳腺腺癌(乳腺癌)は全身に転移し、最終的に死に至ります。

診断は細胞診、または病理組織検査になります。
細胞診は注射の針を腫瘍に刺して細胞を取ってくる検査で、簡便ですが精度はあまりよくありません。
病理組織検査は全身麻酔で腫瘍を塊ごと摘出し、専門の機関に依頼して、腫瘍細胞の悪性度や分布をみる検査になります。

悪性であれば命に関わるため、乳腺腫瘍が見つかった段階で早期の手術+病理組織検査をお勧めすることがほとんどです。

悪性であっても、早期発見により完全に切除できれば完治する腫瘍です。
しかし発見が遅れ、全身への転移が認められた場合、治療は困難です。
外科手術で完全切除が出来なかった場合や転移が認められた場合に、化学療法(抗癌剤)を検討することもありますが、完治させるには至りません。
また稀なケースですが、炎症性乳癌といって手術が出来ないタイプの乳癌もあるので、注意が必要です。

できてしまうと大変な乳腺腫瘍ですが、発生率(良性・悪性とも)を早期の避妊手術によって激減させることができます。
避妊手術までの間に発情を経験させる回数により、0回で0.05%、1回で1%、2回で24%まで抑えられることがわかっています。それ以上発情を経験してしまうと、予防効果は期待できないと報告されていますので、避妊手術を考える場合には、なるべく早期の手術が推奨されています。


爬虫類のクリプトスポリジウム症

クリプトスポリジウムは原虫というごく小さな寄生虫の一種で、様々な爬虫類に対して致命的な消化器疾患を引き起こします。
海外のペットショップにおける爬虫類の死因において、トカゲで44.4%、ヘビで6.7%、カメで4%を占めるといわれています。
国内では特にヒョウモントカゲモドキの発症が多いとされています。

一般的な症状としては、嘔吐、下痢、食欲不振が見られます。
発症初期には食欲があるにもかかわらず体重が減少していくというのが特徴で、末期には重度の削痩を示したり、突然死してしまうことがあります。

クリプトスポリジウムは単純な糞便検査で検出されることもありますが、検出率が低いため、当院では疑わしい子に対して遺伝子検査(RT-PCR法)を実施しています。

効果的な治療法は現在確立されておらず、抗生物質、補液や強制給餌などの支持療法を中心に行います。
基本的には予後不良ですが、根気強く治療を継続すると治癒したという例も報告されています。


犬の潜在精巣

犬の精巣は、出生時には腹腔内にありますが、生後30日ほどで陰嚢内に下降してきます。
潜在精巣とは別名陰睾(いんこう)ともいい、精巣が片側または両側とも陰嚢内に下降せず、腹腔内または鼠径部に停留することをいいます。遺伝するため、繁殖に用いないことが重要です。

また、潜在精巣は正常な精巣と比べ約13倍も腫瘍化しやすいというデータがあります。精巣の腫瘍は悪性のものも報告されています。
精巣が腹腔内にある場合は開腹手術になってしまいますが、腫瘍化しないうちに早めの去勢手術をおすすめします。
当院では生後半年頃での去勢手術を推奨しています。ワクチン接種とあわせてご相談ください。


ハリネズミの口腔内腫瘍

一般に動物は高齢になると、腫瘍の発生率が増加します。
ハリネズミでもそれは同様ですが特に口腔内腫瘍の発生が多いとされています。
ハリネズミの口腔内腫瘍は扁平上皮癌や悪性黒色腫、骨肉腫など悪性のものも多く報告されています。

口腔内腫瘍が大きくなると、採食困難、口腔出血、流涎や歯の脱落などの症状が見られます。

腫瘍の診断には細胞を顕微鏡で確認する検査(細胞診)が必要になるのですが、丸まってしまう子の場合は鎮静や麻酔をかけなければ検査ができないこともあります。
鎮静や麻酔には多少なりともリスクが伴われるので、本人の体調をよく見ながら実施することが重要です。

治療方法は腫瘍の種類にもよりますが、外科的な切除やレーザーメスでの蒸発、もしくは内科的な抗がん剤や消炎剤での治療が中心になることが多いです。

丸まって顔を隠してしまい症状を見逃しやすいハリネズミですが、変わった様子があれば早めにご相談いただき、早期発見につなげていきましょう。


ハリネズミの神経症状に対するMRI検査の有用性

神経症状を呈し,ふらつき症候群(WHS)を疑うハリネズミに対し無麻酔下でのMRI検査を実施した二症例について、2018年のエキゾチックペット研究会にて症例発表を行った。
ハリネズミでのMRI検査の報告は未だなく,適正なデータはまだ存在しない。
今回実施したMRI検査により脳炎および脳腫瘍を強く疑う所見を得られたため,様々な神経症状に対して生前診断が可能となる事が判明した。
今後はデータの蓄積や不動化状態での撮影,さらに造影剤を用いた撮影を行う事により精度の高い診断を行う事が課題であると言える。


デグーの不整咬合

歯のかみ合せが悪くなった状態を不整咬合(不正咬合)と言います。
デグーの歯は切歯(前歯)・臼歯(奥歯)ともに一生伸び続け、硬いものをかじったりすり潰すことで削られていきます。
歯をこすり合せることが不足したり、ケージを齧ったりすると、歯が正常に削られずに不整咬合となります。

特に臼歯の不整咬合では一部分のみが削れて棘状縁という尖った部分ができ、それによる刺激で舌や頬の内側に潰瘍を形成することがあります。見た目に分かりづらく、症状がひどくなってから来院されるケースも珍しくありません。

症状は主に食欲不振と流涎(よだれ)で、そのほかに体重減少、くしゃみ、目やになどがみられることもあります。
また、牧草等の硬いものが食べられなくなることも特徴です。

一度不整咬合となったデグーは定期的な歯削りが必要になります。
不整咬合が軽度の子は無麻酔でも歯削りが行えますが、全身麻酔下での処置が必要な場合もあります。

不整咬合は予防が重要です。チモシー一番刈りのような繊維を多く含む牧草をたくさん食べてもらい、ケージ齧りを防止するために齧り木を用意しましょう。


カメの卵胞うっ滞

カメなどの爬虫類の卵巣では、卵胞という卵のもととなるものが常に作られ、通常はそのまま退縮したり卵となって排出されます。
そのサイクルが何らかの原因で崩れてしまうと、卵胞が卵巣や卵管に大量にうっ滞した状態になります。

卵胞がうっ滞してしまうと、他の内臓が押されてしまい元気や食欲の低下、直腸脱や卵管脱などの症状を引き起こしてしまいます。

卵胞は殻が作られる前の卵であるため、特に甲羅をもつカメの場合、レントゲンで確認できないことも多く、診断には腹部のエコー検査が用いられます。

治療法は、甲羅を開いて卵胞を含めた卵巣・卵管摘出手術が推奨されています。
また、手術が難しいような症例の場合はホルモン製剤を用いた内科療法も試されています。(爬虫類の卵胞鬱滞におけるリュープリン治療の可能性


ウサギの子宮疾患

ウサギは非常に子宮疾患が多い動物で、5歳以上のメスのウサギの約60%が子宮疾患になると言われています。

子宮内膜増殖症や腺癌が多く、その他にも子宮蓄膿症や子宮水腫など様々な病態が認められます。
子宮腺癌では、対応が遅れると肺や肝臓へ転移し、亡くなってしまいます。
また癌でなくても、出血多量を起こして命に関わることもあります。

症状としては陰部からの出血で発見されることが多いですが、ウサギの尿は正常でも色素により赤くみえる場合があるため注意が必要です。
また、ウサギはあまり体調の変化を表に出さない動物なので、発見した時にはかなり病態が進んでしまっていることも珍しくありません。

避妊手術によって子宮疾患は予防できます。
ウサギの麻酔はリスクが高いという話もありますが、前述のように、メスのウサギはそれ以上の高率で子宮疾患になります。
今はウサギの麻酔も進歩しており、麻酔を安全に行う専用の道具も開発されています。

健康な若いうちに、なるべく早期の避妊手術をオススメします。


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